主要な駅から徒歩３分に位置するこの集合住宅は、杉板化粧型枠コンクリート打放しの袖壁とバルコニーの水平ラインの組合せによるタテとヨコのラインと仕上素材が特徴的な外観です。まず、正面の壁には左官仕上げ、共用エントランスからアプローチまで連続する大谷石貼りの床や上部の間接照明が入居者を内部へと導きます。駐輪場はアプローチ横に位置するため天井高さを低く設定し、床・壁・天井ともに仕上のトーンを落としてアプローチとのメリハリを付けています。
住戸プランは１種類で南北の反転プランとなっています。４階のプランは勾配屋根を活用したロフト付タイプとなっており、シンプルながらもコンパクトなワンルームマンションです。玄関ドアを開けると床にはどこか懐かしさを感じる丸型のモザイクタイルや、通常の賃貸マンションではあまり使用されないナラ材の無垢フローリングを使用し素材を感じることができます。また、寝室までの各引戸を開放することで玄関までやわらかな自然光が射し込みます。上階からは西側に設けた大きな開口部から西山の借景を望むことができ、横のガラスブロック窓も光を柔らかく採り入れ、また飾棚としての使用も可能です。南北にもある大きい開口部からもプライバシーを確保しながら光や風を最大限に取り入れることでコンパクトながらも開放感のある明るい空間となり、共用部、専用部ともに素材を感じられる空間となっています。

photo by Daijirou Okada