ナーシングホーム神戸

神戸市・ポートアイランド病院内の１フロアにおける、病院から住宅型有料老人ホームへの用途変更を伴うリノベーションです。
オーナーからの要望は、「スタッフの動線効率の高いプランニング」、「入居者やご家族が訪れた際に、ぜひ利用したいと思えるような空間にしてほしい」というものでした。
プランニングにおいては、およそ4,500㎡という大きなフロアを、既存の平面形状を活かしつつ、4つのユニットに分けて構成する計画としています。
各ユニットで少人数のスタッフでも業務を円滑に行えるよう、拠点となるスタッフステーションを中心に配置しました。さらに、浴室関係を隣接させて動線を短縮し、スムーズに移動できる専用通路を設けました。これらにより作業効率が向上し、スタッフの業務負担の軽減を実現しました。
入居者の利用居室は、自然光を十分に確保できる大きな開口部を設けるとともに、既存建物でありながらも、神戸市の安全条例に基づいた明確な２方向避難を確保した計画となっています。
内装デザインにおいては、施設に入所することを「別荘を持つこと」と捉えなおし、施設全体のコンセプトとして「KOBE VILLA」を掲げました。各ユニットには、神戸ならではの地域性や文化から着想を得て、「GARDEN」「RETRO」「HARBOR」「MODERN」というテーマをそれぞれ設定し、この施設ならではの世界観をつくることを意識しました。
各ユニットにはテーマカラーを効果的に配置することで、入居者が移動中に迷わないだけでなく、自分の居場所を直感的に認識できる工夫を施しています。また、ユニット間を繋ぐ中央のEVホールはラウンジ空間と捉えて折り上げ天井を設ける等、上質な空間を目指しました。
要望や諸条件をくみ取ったプランニングと、コンセプトに沿った空間演出を通じ、施設全体のブランド価値を高める好事例となりました。

撮影　有限会社イセヤ 吉田