新日勝ビル

京都市下京区に建つ、築51年の集合住宅、テナントの複合ビルの耐震改修工事及び共用部改修プロジェクト。
「先代が建てたビルを、これからの10年、20年も大切に受け継いでいきたい」というオーナーの思いを受け、耐震改修による建物の安全性向上だけなく、エントランスや外観の改修によって既存のポテンシャルを引き上げるデザインを提案しました。
耐震改修では、住みながらの工事となるため主に1階部分に耐震壁を設計することで、住民やテナント利用者への負担を軽減できるよう配慮しました。噴水のある既存中庭に面する耐震壁には、正円の開口を設け、庭の風景を切り取る「悟りの窓」のデザインとしました。
外観は既存のアースカラーのタイルを引き立たせるようシンプルにデザインしました。1階部分のタイルの上からマットな白塗装、エントランス扉を格子付きのアイアン両開き戸に改修し、レトロさを感じるデザインとしています。
耐震改修工事に続いてEVホールと共用廊下の改修工事では、事務所ビルのような無機質な雰囲気の内装を変えて欲しい、というお施主様の要望を実現するため、既存ビルの高い天井高さを活かし、木材やアースカラーを基調としたペイントであたたかみを感じる内装に仕上げています。
EVホールと一体となっている階段は、腰壁と階段裏にダスティーグリーンのペイントを施しアクセントを加えました。
限られた予算の中、色彩計画の工夫と既存の良さを引き出すことで、先代より大切にされてきた建物とその思いを受け継いでいくリノベーションを可能にしました。


●1期　耐震改修、外観改修、1階共用部改修
設計期間　2021.02～2021.11／施工期間　2021.12～2022.06

●2期　2～6階共用部改修
設計期間　2022.09～2022.11／施工期間　2022.12～2023.06