SOLUTIONわたしたちの解決方法

事業の持続性とビルの活性化を促す京のビジネス街に和をもたらす

京都近江屋ビル


BACKGROUND

オーナーは1949年創業の呉服店です。弊社事例のTOKIWA BLDG.(トキワビル)のオーナーと交流があり、その事例を知っていただいた上で、烏丸五条にある自社ビルを商業ビルとして再生するプロジェクトがスタートしました。建物が抱える耐震性やアスベスト等の課題に加え、ビルの半分は自社機能として残すこと、営業を続けながらの工事を進めることが求められました。

INSPIRATION

当初は地下にある社員食堂と休憩所の改修を予定されており、どのようにプロジェクトを進めるべきか悩まれていたところ、弊社にご相談がありました。既存建物と周辺市場を調査して建物全体を商業ビルとするリノベーションプランと事業収支を作成し、収支が合うことを確認した上で予算に合わせた設備改修や耐震補強等をご提案しました。プロジェクトを進める上で、求められる要望や条件のみならず、クライアントが気づけていない潜在的ニーズに焦点を当て、経営者・従業員・テナント利用者それぞれの実現するべきニーズを整理しました。

TECHNIQUE

自社ビルの余剰空間をテナントとするにあたり、自社の従業員の方が働く場をコンパクトにし、新たに入るテナントとを明確に分ける上で、動線計画がポイントとなります。そこで従業員の方にご協力頂きグループワークとアンケートを実施し、プロジェクトの意義を共感頂いて、改修後の働き方や活用方法について意見を出して頂きました。集まった意見を参考に設計へフィードバックすることで納得感のある設計プロセスとしました。

施工計画にあたっては、工事中も営業を続けるために設計段階から施工業者と打合せを重ね、消防署への協議や安全性の検証を行い、改修する階ごとで1期と2期に工期を分けて、工期の合間に本社機能の引っ越しをして頂く計画としました。

地下鉄烏丸線の出入り口に隣接した立地を活かし、自社だけにとどまらず、多様な人の流れを引き込むことをねらいとしました。1階に路面店となるテナントを誘致することで、グランドレベルから人の動きが感じられます。

改修前
改修後

地下は従業員の方とテナント利用者が共用で使えるセミナールームとしており、暗くて湿気の多い地下を快適な空間とするために、1階の床を撤去しエントランスホールと繋がった吹抜け空間とすることで、自然の風が通るようにしました。吹抜けには階段を新設し利便性を高め、2層分の高さがある壁面には特注の信楽焼タイルを貼り、和装にみられる染めのグラデーションを表現した重厚感のあるデザインとし、豊かな交流の場へ再生しました。このようにビルそのものを活性化させることで、結果として烏丸通の賑わいに寄与します。

セミナールーム
吹き抜け空間工事の様子
作業が進んでいきます
タイルの貼り付け指示を作成し、グラデーションを表現
一枚一枚手作業で貼られていきます
自然の風が通る吹き抜け空間が完成

EFFECT

設計期間中にウイルス感染症が流行し、あらゆる常識が一変しました。幸い工事が終わるまでプロジェクトが停止することなく無事完遂できました。何よりテナントのほとんどに借り手が決まり、華々しい事業のスタートを迎えることができました。既存建物が持つ魅力と潜在的ニーズがマッチングした結果となりました。