SOLUTIONわたしたちの解決方法

京都の町とビジネスホテル有限のボリューム活用

Urban Hotel Kyoto-Nijo Premium(アーバンホテル京都二条プレミアム)


BACKGROUND

本計画において、ビジネスホテルの歴史や、プロトタイプがどのように進化しているのかを学び、問題点や可能性を紐解いていきました。オーナーや運営者の要望を聞き取り、「限られたボリュームの中での空間の扱いや場所の使い方」を提案しました。

1. 地域に開かれたビジネスホテルづくり

LOCATION

二条駅(JR・地下鉄)から北へ徒歩5分。千本通りと南向き一方通行の道に挟まれた敷地周辺は、観光客が少なく、このあたりに暮らす人々の行き来が目立つエリアです。

INSPIRATION

敷地周辺の地域特性が活きるように、宿泊者だけでなく地域の人にも親しみを持ってご利用いただける場所と成り得るように、1階のファサード(正面)は、開口いっぱいのカフェラウンジを提案しました。
そして、テナントではなく、ホテルを運営する会社が自社でサービスを提供することを提案しました。そうすることにより、ホテルの受付ロビーとカフェラウンジの空間、動線等を壁で仕切ること無く、風通しの良い一体的な場所の利用を可能にするからです。

TECHNIQUE

カフェラウンジ空間を全面ガラス開口とすることにより、周囲に開かれた空間を実現する計画としました。開放的な印象を持たせるだけでなく、外から利用客の様子が見えることで宣伝効果も期待できます。通りからよく見える天井には、道行く人へのアイコンとなる3つの円盤(金銀)を配置しインパクトを与えています。季節によっては外の空気を感じ取れる様に全て開口可能となっています。

また、ホテルのエントランス通路側も、ファサード正面から連続したガラス開口を用いて内部空間をチラチラ見せることにより、ホテルへの期待感が生まれる効果的なアプローチとなっており、ホテルを利用する宿泊者も、カフェの利用客も視線でゆるく繋がっています。

そしてフロントバックには、この敷地(地名:京都市聚楽廻)だからこそ採取できる本聚楽の土を使い、本聚楽土投げすさ仕上げの壁を誂えました。この壁を背景にしたホテルスタッフのお出迎えは、本ホテルのアイデンティティーそのものとなり得ました。

EFFECT

ビジネスホテルではありますが朝食利用の他、地域の方々にも日常的に利用され周囲で暮らす人々にとっても開かれた場所として親しまれています。 また、カフェラウンジは、パーティの2次会場としても活用できるなど、持て余しがちなスペースの有効活用に役立っています。

2. 限られたボリュームの中で空間を活かす

INSPIRATION

ホテルを運営する上での要望として提示されたのが、客室数を170室確保することでした。 ビジネスホテルは他の業態に比べて一番コンパクトな規模のホテルです。その上、敷地面積の狭さや京都特有の高さ制限がある中で希望の客室を確保すると、一般的なプランニングでは他の機能に影響が出てしまいます。そこで提案したのが、通常あるはずのリネン室を持たないことでした。

TECHNIQUE

時間帯によってEVホールがリネン室と同じ機能を果たせるように、EVホール前にリネンを壁面収納出来るしくみを考えました。EVホール横には階段もあり、上下の移動には最適な配置です。 EV目前のその壁面収納は、利用客からの視線を配慮し、バックヤード感を一切出さないアクセント壁としてお客様をお迎えします。

EFFECT

EVホールを時間帯によってリネン室として使うという挑戦的な提案ではありましたが、限られたボリューム内で要望の客室数を確保することができました。